GRIND (グラインド)

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RICK OWENS

怒りから生まれた造形美

FASHION INTERVIEW MAGAZINE 2018.09.06

不健全なサイクルを繰り返す人類の歴史、ただ黙って見ていることしかできない途方感。洋服をフィルターに感情を表現するアーティスト、リック・オウエンスの今季は怒りを根源にはじまっている。引き裂かれたようなディテールとウェアラブルなバッグのレイヤード、リアルとアンリアルの間を突くコレクションを、リックのインタビューとともに。

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RICK OWENSのジャンプスーツ¥315360(参考価格)、チャップス¥226800(参考価格)、肩からかけたポーチ¥140400、ブーツ¥156600/以上すべてeastland(RICK OWENS)

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RICK OWENSのニット¥276480、デニムスカート¥95040、チャップス¥151200/以上 すべてeastland(RICK OWENS)

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RICK OWENSのシャツジャケット¥415800、ハイウエストパンツ¥227880(参考価格)、シャツの内側でかけたポーチ¥138240(参考価格)、レースアップブーツ¥195480/以上すべてeastland(RICK OWENS)

 

 

 

Photo_KENTA SAWADA
Styling_TAKAYUKI TANAKA
Hair_AMANO
Model_MATT
Cooperation_KOSHIGAYA FENDER

 

 

 

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“叫びたくなるほどの怒りとは、
人間が持つ根源的要素なのだと思ったのです”

2018年秋冬のショーが行われる直前、リック・オウエンスは怒っていたという。「怒りに自らの服を引き裂く。それは劇的な聖書的行為でしょう」。永遠に繰り返される苦行を描いたアルベール・カミュの随筆『シーシュポスの神話』で知られる、ゼウスの怒りを買い、苦行を繰り返すこととなる〝シーシュポス〟をテーマにしたコレクションは、春夏に続き引き裂かれたようなルックが、より過激さを増して登場している。Fashion is Passion。リアルクローズ全盛の時代に、リックは変わらず感情の赴くままに表現する。
「政治的な問題や環境問題、世界的に見て、退廃を感じる今日に、怒りを感じていない人はいないと思ったのです。ファッションに視点を向け、想いを巡らせたとき、大衆的で独自性の感じられない嗜好をする人の多さに腹だたしさを感じました。そうした怒りや苛立ちが日々膨らんでいく過程で、あるビルの管理会社とやり取りすることがありました。冒険や実験に対する理解の乏しさや安全対策のひどさに苛立ちが大きくなり、それが今回のショーのテーマへとつながっています。ショーの準備をしていたころ、モデルに火を点けた演出をしたいと思っていましたが、管理会社から許可が下りず実現には至りませんでした」。
 常に疑問を呈するかのようなリアルとアンリアルの間を突く〝造形美〟を発表してきたリックにして、今季はよりソリッドだ。ダークな色調はこれまでと変わらないが、秋冬にして重さが感じられないコレクションとなっている。春夏からの継続のなかで新しさを見せたのはレイヤード。洋服とバッグというカテゴリーを取り払うかのようなスタイルが新鮮に映る。「ブランドロゴがついているバッグに代わるものを作りたいとずっと思っていました。インスピレーションという観点で、ロゴバッグを持っている人に会うと、『この人とは仲良くなれない』と思ってしまうのです。例えそのバッグがどれだけウィットに富んでいたり、風刺的であったとしても。個人的に荷物を持つことが好きではないこともあるのですが、バックパックを変形させたファニーパックやカーゴベストを作ろうと考えていた延長で、〝洋服のようなバッグ〟を作ることになったのです。身軽でいると自由で独立した気持ちになれます。両手に何も持たずに行動できることがポイントでした。先シーズンから続いてのことですが、今後もこういうカーゴチャップスを色々なバージョンでずっと作り続けていきたいと思っています。一方で、チェーンをストラップにするバッグも作りました。チェーンは服従を連想させるかもしれませんが、〝つながることの力〟を感じられるものだと考えています。独立している感覚とつながりを大切にする感覚、それをバッグという、ウェアラブルなスタイルで表現したのです」。

INFORMATION

問 eastland(RICK OWENS) TEL_03-6712-6777