GRIND (グラインド)

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NICHOLAS DALEY INTERVIEW

26歳の英国デザイナー”ニコラス・デイリー”
確固たるバックボーンによる洋服作り

FASHION 2016.10.24

本誌でも度々登場する英国先鋭ブランドであり、デザイナーのNICHOLAS DALEY/ニコラス デイリーにインタビューを敢行。

若干26歳の彼は、2013年にロンドンの名門校、セントラル・マーチン芸術大学を卒業後、2015S/Sにイギリスのサブカルチャーの重要人物であるドン・レッツを起用するなど彼自身のバックボーンを色濃く反映したシーズンを発表したことで注目を浴びた。
彼の作り出す洋服には、ヴィンテージウエアを研究した知識に、ジャマイカ人の父を持つ彼のルーツであるスカ・レゲエなどを盛り込んだミックスカルチャーが融合されている。ロンドンに新風を巻き起こした実力派として日本でも認知されているデザイナーだ。

 

今シーズンは「KinDread」というテーマで、モーターサイクルからインスパイアされたコレクションを発表した。
アメリカンモーターサイクルクルーの中でも、初めて様々な人種で結成されたことで知られるグループ「The Chozen Few MC」や、ニコラス自身のアイコンとも言えるドン・レッツが、ハーレー・ダビッドソンのバイクにまたがっている写真もインスピレーション源になっている。そんなヴィンテージモーターサイクルウエアを、彼のデザイナーとしてのフィルターを通しモダンなリアルクローズへ昇華。これはニコラスが何より得意とするクラシックとモダンウエアの融合を具現化したものである。

 

4シーズン目となるニコラス デイリー。ブランドとしても認知度が上がり、デザイナーとしてさらなる高みを目指す彼に、今シーズンのコレクションに託した想いや、これからのビジョン、そして改めて彼自身のルーツを聞くことが出来た。

 

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ー今回のコレクションのタイトルとその意味をニコラスの口から改めて聞いてもいいかな

OK。「KinDread」というコレクションタイトルには”Family”という意味があるんだ。(本来、”Kindred”というスペルが正しいが”Dread”=ドレッドヘアの意を組み合わせた造語)。なので今回は、モデルにプロモデルを使わず、すべて友人を使ってフォトシューティングをしたんだ。彼らは、それぞれクリエイティブな活動を行っている友人ばかりだよ。

ーなるほど。今シーズンのシーズンテーマはどういうモノなの?

今回のコレクションは「The Chozen Few MC」をシーズンテーマに掲げているんだけど、そもそもこれをインスピレーションにする前から、ドン・レッツが26歳の頃にハーレーに跨っている写真があるんだけど、短めのドレッドヘアにバイカーファッションを合わせたスタイルがとても新鮮に感じたんだ。そこから自分の中でイメージを広げていって、1960年後半から70年の頭にかけてアメリカで誕生したバイカーギャンググループのスタイルなども参考にしたんだ。

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*写真左上が先述の当時26歳のドン・レッツ。(NICHOLAS DALEY 2016 A/W LOOK BOOK内)

 

きっと典型的なバイカーグループは、レザーで全身を固めたハードなファッションが多いよね?それをインスピレーションにするのは、他のデザイナーもやっていることなので。自分のフィルターを通して、チェック柄を採用したり、いつも通り生地にこだわったアイテムを制作したんだ。
 
袖をカットオフしたベストは、70年代のサイケデリックなムードが新鮮で色濃く反映させているよ。

ーモーターサイクルのディテールも含めて、老舗ファブリックメーカーの知識など、ニコラスの作るアイテムにはヴィンテージの要素がたくさん盛り込まれているよね。

そうなんだ。ヴィンテージから着想を得ることは自分にとってはとても重要なことで。ヴィンテージウエアに宿るディテールや生地感に自分は常に惹かれているんだ。BEAMSとのエクスクルーシブのチェック柄ジャケットもアメリカのハンティングジャケットから着想を得ているし、さっき話したベストに関しては、カーハートのダックベストに近いけど、今回のテーマのモーターサイクルのディテールをミックスしたりね。

ー確かに。そしてニコラスのデザイナーとしての考えも反映されているのがよくわかるよ。

そのままではなく、ヴィンテージのディテールを反映させていることが多い。ただ、ヴィンテージを手に入れる場所は、ロンドンだと実は少なくて。中でも自分としては、値段やジャンルに関係なく集めているよ。それをスタジオに飾ってインスピレーションを得ることはあるかな。

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ーそれは素晴らしいね。日本のヴィンテージショップには行った?

サンタモニカには知人に勧められて行ったよ。ジャンティークにも行ってみようと思っているよ。他のヴィンテージショップも…時間があれば行きたいね(笑)

ー他に日本で気になるお店やスポットはあるかな?

来日した日には、明治神宮に行ったり、銀座に行ってドーバー ストリート マーケットに行ったんだ。もちろん、日本で1番早く取り扱ってもらったインターナショナルギャラリー ビームスのみんなにも会いに行ったよ。自分のインスピレーションソースになるような伝統的な所はもちろん。トレンドをチェックしたり、自分なりにバランスよく東京を廻ろうと思っているよ。

ーニコラスが、1年前にGRINDのインタビューでヨウジヤマモトに影響を受けていると言ってたのは覚えてる?

もちろん!ヨウジヤマモトやコム デ ギャルソンには強い影響を受けている。特にヨウジヤマモトはコレクションブランドにも関わらず、毎シーズン大きいシルエットのアイテムは発表していて、 確固たるアイデンティティを持っているのがコレクションを通じて感じるんだ。あとは、僕の身体がとても大きいから自分にとてもフィットするんだ(笑)
あとドーバー ストリート マーケット ロンドンで働いていたので日本のブランドに親近感を持っていて。他には、アンダーカバー、ビズビムそしてタカヒロミヤシタ ソロイストなど、フィロソフィーを感じるブランドが日本には多くあるね。

ーそうなんだ。ドーバー ストリート マーケットで働いてたこともデザイナーとしてはプラスになるよね。

ドーバー ストリート マーケットで働いた経験もデザインに影響があるというのを感じているよ。学校では教えてくれなかったことを経験できたことが今とても糧となっているし。

ーなるほど。
ニコラスの作る服には全てにのシーズンを通して、男らしさ、武骨さ、モダンさが共存しているように感じているんだけど。ニコラス自身、デザイナーとして”ニコラス・デイリー”らしさは意識はしている?

いや、特にはしていないよ。元々、自分が着るということをベースにしているから、自然発生的に、アイデンティティが宿るコレクションになっていると思うよ。2015S/Sからブランドがスタートして、テーパードパンツやスモッグなどは定番で発表しているんだけど、シーズンごとに多少の変化を加えているんだ。ディテールを進化させてアップデートしていく感じかな。だから、決して無理にアイテムを作るというよりは、ある種ガーメントのような考え方だね。工場もイギリス国内の老舗の工場を選んだり、自分の身近な所でアイテムを生産するのは、自分の哲学の1つではあるよ。

ー他にデザイナーとして自分を形成しているものに音楽って入るのかな?公式のホームページでシーズンごとにミックス・テープを配信しているのがとてもユニークだと思っていて。

そうだね。洋服では表現できない、側面を音楽を通して表現しているんだよ。今回はNTS RADIO(ロンドンを拠点としているインターネットラジオ) で働いている友人に制作を依頼したんだ。ただ、具体的になり過ぎないように、あくまで断片的なアイデアやテーマを彼に伝えて。ジャマイカ人のルーツといえる音楽だけでなく、様々なジャンルがミックスされているのがポイントかな。

ーちなみに次のシーズン(2017S/S)はどのようなものがテーマになっているかな?

今回は、自分の曾祖母がやっていた仕事がインスピレーション源になっているんだ。自分の総祖母はスコットランドのダンディという古い工場(衣料用ワックスの加工工場)で働いたんだけど、その工場では昔、コーヒー豆を入れる麻袋を作る工場でもあったんだ。ただ、その麻袋を作るには、様々な工程を異なった国で行い、スコットランドで初めて完成するものなんだ。クラフトマンシップやミックスされた要素はあるけど、今回はいつもと少し違った角度のシーズンテーマを設けたよ。

ーとてもニコラスらしい観点だね。2017S/Sも楽しみにしているよ。
それでは最後、これからのビジョンを教えてください。

アイルランドのリネンやオーガニックコットンを使って、環境に配慮したコレクションを作りたいと思っているよ。ファストファッションなどの大量生産に頼らず。自分の身近な工場でコンタクトを取りながら、これからもジックリ制作に取り組みたいと思っているよ。

 

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NICHOLAS DALEYのワックスドスモック ¥85320、ツイードチェックパンツ ¥78840、その他私物/ともにインターナショナルギャラリー ビームス 03-3470-3948
 
Photo_Yuko Saito (horizont)