GRIND (グラインド)

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Exclusive interview Vol.2 : Mura Masa

音楽に対するピュアな想いから
発せられるマルチな才能

EVENT INTERVIEW MUSIC 2018.12.14

GRIND WEBのインタビュー連載。国内外問わず、現在のトレンドを左右するキーパーソンをピックアップしていく。
第2回目は、アーティストやプロデューサーとしてマルチに活躍の場を広げるMura Masa。
彼のクリエイションのきっかけや想いについて語ってもらった。

MURA MASA A写
 才気あふれる音楽性やアートディレクションで知られるムラ・マサ。今年の1月に東京・恵比寿のリキッドルームでの公演がアナウンスされるも、瞬く間にしてチケットが完売したことも記憶に新しい。そんな彼が、去る12月5日に六本木EXシアターでライブを敢行した。キャパシティが前回の時に比べ、ほぼ倍にも関わらず今回もソールドアウトし、ゲストアーティストにNAOが参加したりと今まで以上に熱気に包まれたライブとなった。そんな自身初となるジャパンツアーで来日したムラ・マサ本人に、彼自身の価値観や過去のきっかけを語ってもらった。
 「父親がファンクミュージックのベーシストだったというのもあって、幼少期から父親の音楽は聴いて育ったんだ。それに最初に楽器とかも教えてくれたのも父親だしね。そういった影響もあって、最初の方はパンクとかメタルバンドをやっていたよ。でも色々自分で音楽と触れていくうちに、17~18歳くらいの時からエレクトロミュージックに興味を持ちはじめたんだ。それでパソコンを買ってはじめたのが最初かな。それでインターネットを使って、サウンドクラウドやユーチューブとかで色々見たり聴いたりしてたんだけど、ジェイムス・ブレイクやサブトラクトをよく聴いていたよ。それでそういった興味持ったアーティストを真似しはじめたりしてさ。そうやってエレクトロミュージックにのめり込んでいったんだけど、昔やっていたパンクとかも別に完全に興味を失ったわけじゃなくて、要素として今も自分の感性に残っている」。そう最初に語ってくれたもともと音楽家族で育ってきたという環境は、少なからず今現在に影響しているのではないのだろうか。
 彼の名前“ムラ・マサ”からも想像できるように、日本のカルチャーから影響を受けていると彼自身も公言しているが、具体的にどういったことが影響しているのかを彼に尋ねると、「任天堂のゲームやアニメ、漫画で育ってきたし、日本の音楽でバンプ・オブ・チキンやファクト、マキシマムザホルモン、ガクトとかも聴いてたんだよね。そういった音楽を聴いてきたから、昔から日本に親しみはあったんだ。だから単純に日本語の響き自体が好きだし、美しいと思っているんだよ。でも恐らくビデオゲームから多くの影響を受けているんじゃないかな。例えば電子音とかね」。この日本文化以外にも、彼の音楽性を形成していった要素がもう1つあると続けて語ってくれた。「ガーンジー島っていう場所が僕の故郷になるんだけど、島という孤立している地理条件もあって、ほかのシーンにハマってしまうってことがないのが良かったって思ってる。要するに自分のやりたいことに忠実でいれるんだ。外のコトやモノに良い意味で影響されにくいんだよ。それに外の世界と離れていることは、良い意味でストレンジでいれるから僕にとっては良かったね」。

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 エレクトロなサウンドに近未来的要素や、民族的要素を上手く溶け込ませた音楽性に定評があるのだが、MVなどのビジュアルの創造性も高い評価を受けておりムラ・マサを特徴付ける要素の1つだ。その点について彼は、「Yoni Lappinっていうディレクターと映像は作っているんだ。だいたい僕が曲をピックアップして、そのあとに彼がそれをもとにアイディアを得て映像を作っていく感じかな。僕と彼は長い間MV制作を通じて一緒にやってきた仲だから、お互いのことはよく理解しているし、僕の音楽をビジュアル化するのは彼がベストのうちの1人なんだ。音楽に込めたメッセージや感覚を完璧にリンクさせてくれるんだよ」。そんな彼のMVからは“人間関係”というコンセプトを強く感じることができる。「僕のほとんどの音楽は“愛”がテーマにはなってるんだけど、それは人間関係に深い結びつきがあると思うんだ。Yoniはそこをうまく捉えて表現してくれている。特に最近のユース世代のモダンな人間関係からは影響を受けてるし、深く考えているカテゴリーだよね」。その人間関係にフォーカスされたMVは何故かリアリティを垣間見ることができるのだが、彼はそのことについて、「Yoniはミュージックビデオの撮影で起用するモデルを、ストリートハントして探すんだ。それに何故かわからないけど、僕らのビデオに出演してくれた子達は、その後本格的にモデル活動をはじめたり演技をはじめたりすることも多いんだ。嬉しいことだよね。まあこういった方法はオーセンティックだし、リアリティを感じる要因の1つなんじゃないかな」。
 アーティストでムラ・マサの音楽のファンだという人達も多いという。故に、全世界股にかけて名だたるアーティスト達と楽曲をリリースしているのだが、コラボレートすることについて彼自身の考え方がある。「全く違ったジャンルや観点を持った人たちとコラボレートするのはすごく好きなんだ。共に何か物事をやることによって、違った価値観や視点での物事の考え方を知ることができるからね。例えばエイサップ・ロッキーとコラボレートした時とかは特にそうなんだけど、彼は僕と全く違う幼少期を過ごしてきて、もちろん考え方も僕とは違うよね。故に人生も違ってくるわけで。だからこそ、各々の違った視点や価値観を一緒にまとめていくのがすごく楽しいし、より良いモノが作れる。これが僕が違った場所出身のアーティストとコラボレートする理由の1つだよ」。
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イギリス王室属領であるガーンジー島出身の音楽クリエーター。アーティストやアートディレクションと多岐にわたり活躍の場を広げている。2018年グラミー賞では最優秀ダンス/エレクトロニックアルバム賞と最優秀レコーディングパッケージ賞にノミネートされ、両名での史上初の選出といった快挙も成し遂げている。

 

 

 

Photo @_24young_