GRIND (グラインド)

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DEUS EX MACHINA
for GRIND Vol.81 Issue

時代を超えても着れる、カルチャーのある服を
<デウス エクス マキナ>の連載 第2回

FASHION MAGAZINE SPORTS 2018.03.17

トレンドだけを追った一過性の服ではなく、
時代を超えてもずっと着られるカルチャーの宿る服を着たい。
バンドTを買い漁るように自分が好きな物や事を纏えば、
それは自分にとって価格以上の価値があり、誰に何を言われたっていい。
周囲に影響される事なく、自分の為に服を着る男が最高にクールだからだ。
「ファッションというのは、あなたが誰であるかということ、あなたが
何者であるかの表明である」。これは世界のトップデザイナーを輩出する
イギリスのセントラル・セント・マーチンズ芸術学校で最初に教わる事だ。
つまり、自分が着る服に意思と意味を持って着ることが重要だという事。
<デウス エクス マキナ>を着る男たちはそんなプライドを持った
男たちであってほしい。様々なカルチャーの楽しさと本質を教えてくれる
<デウス エクス マキナ>の魅力を、5つのカルチャーを通して伝えたい。
連載第2回目はSNOW(スノー)にまつわるカルチャーについて。
SURF(サーフ)をテーマにした1回目はこちらから→(vol80_deusexmachina

http://deuscustoms.com/

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カルチャーを自由に横断する
スノーサーフの可能性

 童話作家のミヒャエル・エンデが、かつてこんな意味のことを言っていた。いわく「人間が自分の中の力と出会うには、冒険をしてみるしかない」。ここで言う「冒険」とは、なにも8000m級の山に登れという類の話ではない。もうこれ以上行けないかもしれないというその境界から、一歩を踏み出してみる。その時に初めて人は、以前知らなかった自分と出会うことができるのだと彼は続ける。シュルレアリストの父・エドガーから強い影響を受けたエンデは、自然科学に用いられる因果論を人間にも当てはめようとする20世紀的な思考に対して、因果の呪縛から解き放たれた「直観」こそが大切なのだと説いた。
 <デウス エクス マキナ>(以下デウス)の創始者デア・ジェニングスの「挑戦することに答えはない」という言葉は、エンデが言わんとしたこととどこか似ている。答えを探すために挑戦するのではなく、ただ挑戦したいから挑戦するという姿勢がそこにはある。語弊を恐れずに言えば、デウスはいわゆるアパレルブランドではない。彼らのベースにあるサーフとバイクのカルチャーは、自然の中で、自分の本能と肉体、そして道具を極限まで一体化させる「遊び」だ。一本の波に残るトラック、悪路に残る轍は、そのまま彼らの挑戦の軌跡を表している。解釈を求めて安心しようとするマインドよりも、自分の中に沸き上がってくる直観を信じる。デウスが起こすムーブメントの中には、いつでもそんなジェニングスの哲学が貫かれている。
 現在、アメリカ、オーストラリア、インドネシア、イタリア、そして日本で展開しているデウスは、それぞれのローカルカルチャーに根ざした独自の進化もまた遂げてきた。世界に誇る雪質を持つここ日本では、スノーボードがそれだ。スノーボードもまた、もともとは雪の上を一枚の板で滑るというシンプルな「遊び」である。その起源には諸説あるものの、1970年代に日本を含む世界数カ所で「雪の上でもサーフィンをしたい」と感じたサーファーたちが、同時多発的に始めたと言われている。インターネットがない頃の話だから、どうしてそんなシンクロニシティーが訪れたのかは分からない。成長や発展、つまり生産性ばかりがもてはやされるような当時の風潮の中で、どこかに「遊び」という非生産的な何かを置いてきてしまった人間が、自然の中で根源的な欲求に立ち戻ろうとしたからなのかもしれない。世界での状況と同じように日本での発信源も『MOSS』というサーフボードブランドだった。サーフィン、そしてスケートボードという横乗りのカルチャーが、アメリカから輸入され伝播していったなかで、日本においてもスノーボードがサーフィンの文脈から誕生していたのは驚くべきことだと言えるだろう。その後、サーフィンとスノーボードはそれぞれの方向へと発展していったが、近年また「スノーサーフ」という言葉で表現される、サーフィンのフィーリングをスノーボードにリンクさせる動きが広がりを見せてきている。元をただせば、スノーボードはサーフカルチャーから始まっているのだから、両者が再び接近している今の状況は、ある意味で起こるべくして起こったとも言えるはずだ。デウスが雪の世界をサーフするために生み出した「パウダーツールズ」のことを話すためには、吉川”タッピー”拓哉というサーフボードビルダーに触れておかねばならない。幼少よりサーフィンの魅力に取りつかれ、サーフボードを作るクラフツマンとなったタッピーは、いつしかスノーの世界へも足を踏み入れた。パウダースノーでのスピード、そして浮遊感で得られる感覚に、サーフィンのそれと同じものを感じていた彼が、サーフボード作りで培った自身の技を注ぎ込み、デウスとともにスノーボードの開発を始めたのは2013年のこと。「スノーサーフ」というカテゴリーがポピュラーになりつつあったとはいえ、生粋のサーフボードビルダーがスノーボードをデザインしているブランドは世界的に見ても、実はそう多くない。タッピーは自身のスノーボードの経験に加え、ライダーたちからのフィードバックをボードデザインに落とし込み、幾度もプロトタイプを製作。作り、乗り、改良し、乗る。そんなアナログなプロセスを経て生まれた「パウダーツールズ」は、まさにデウスの哲学が具現化されたものだ。また、完成間近だというスノーウェアにも彼らならではの世界観が表現されている。ライダースからインスピレーションを受けたジャケット、ミリタリーのデッキパンツとヴィンテージのモトクロスパンツをベースとしたパンツは、雪山での使用だけでなく、バイカーのレインスーツとしても着用できるようデザインされている。機能性とファッション性が背反しないプロダクトを生み出せるのも、デウスが既存の枠組みにとらわれず、サーフ、バイク、スノーというカルチャーを、シームレスに横断する自由さを持っているからだろう。
 そういえばエンデは、「物語を書きながら、自分にも結末がどうなるか分からない」とも言っていた。「どこに行き着くのかわからない」。時にはそんな「遊び」に身を捧げてみてもいい。

 

 

Column 01_
クラフツマンシップが生み出す
スノーボードデザイン

サーファー、そしてスノーボーダーであるTakuya Tappy Yoshikawaが、自身のサーフボードファクトリーで『パウダーツールズ』をデザイン。アート、音楽にも造詣が深いTappyの独創性と、それを具現化するクラフツマンとしての精緻な仕事は、世界的にも評価が高い。

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今季のアイテムはブランドのオンラインサイトで購入可能→(https://shop.jp.deuscustoms.com/collections/?pcat_id=84

 

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こちらのスノーボードは来季(2018-19AW)のものになります。

 

 

 

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Photo_WOODY GOOCH
Text_MITSUTO MATSUNAGA
Edit_TATSUYA YAMASHIRO

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