GRIND (グラインド)

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Interview with
J. GRANT BRITTAIN

80’sスケートスタイルには
DIYな遊び心が溢れていた

ART FASHION 2017.08.15

スケーターからファッションの遊び心を学ぶなら、スタイルが確立された1990年代よりもカオスな1980年代の方が一層おもしろい。スーツ姿で滑るゴンズに、洋服をぶった切るヘンズリーやホソイ。なぜか最高に絵になってしまうその奔放さは、いつだってグラインド世代の教科書であり、スポーツトラッドに通づるスタイリングアイディアがたくさん隠されている。

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MARK GONZALES,
Huntington Beach, CA

 

 

 

 

結婚式の会場で撮影されたというスーツ姿のマーク・ゴンザレス。狙ったわけではないにせよ、この写真は今見ても最高に洒落ている。足元のエア・ジョーダンもカッコいい。

 

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NATAS KAUPAS And MARK GONZALES

 

 

 

雑誌の企画としてGSD(ギャリー” スケート” デイビス)のアイディアで全身古着で固めたゴンズとナタス・カウパス。お遊びコーデでも、2人が着れば絵になってしまう。

 

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MATT HENSLEY,
San Pasqual, CA

 

 

 

 

1989年には『Transworld』誌の表紙にも飾ったマット・ヘンズリーのサン・パスクアル高校での1枚。トリックもさることながら出で立ちも実にスタイリッシュだ。

 

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MATT HENSLEY

 

 

 

ヘンズリーのファッションと言えば<ドクターマーチン>やフレッドペリーのポロシャツもあるが、1980年代ならDIYカットオフのカーゴパンツだろう。サーフ調のTシャツも良い。

 

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TOMMY GUERRERO,
China Banks, San Francisco, CA

 

 

 

 

カットオフされたTシャツやエア・ジョーダンなど、80’sスケートファッションのお手本というべきトミー・ゲレロのスタイル。伝説のスポット、チャイナバンクにて。

 

 

Interview with J. GRANT BRITTAIN

このコーナーで紹介している写真はすべてグラント・ブリテンという伝説のスケートフォトグラファーが撮影したもの 。80’sスケートシーンの中心にいた彼だからこそ知る貴重なエピソードを先日の来日時に教えてもらった。

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スケート専門誌『Transworld Skateboarding』のフォトエディターとして1980年代から活躍し、スケートフォトを世に広めた第一人者。今回は写真展「IN THE S TREETS」にあわせて3年振りに来日した。

80’sスケートを撮り続けた
写真家が秘蔵エピソードを語る

 

 

 

 

ーーまずはじめに、今回は新ブランド「ファクト(FACT.)」(DC Shoesの共同創業者であるデーモン・ウェイと、ファッションフットウェアブランド <The Generic Man>の共同創業者であるブランドン・デイが立ち上げた)のローンチイベントに併設した写真展のための来日ですよね。

そうだね。デーモンとは弟のダニー・ウェイを通じて出会ったんだ。彼はスケートカルチャーの中で育ってきたから僕の長年の仕事も見てくれていたし、僕も彼が<DC>を立ち上げた頃から知っているからすごく長い付き合いになるんだ。だから今回のコラボレーションも、仕事というよりは遊んでいる感覚だね。

ーー展示されていた写真はすべて80年代のものでしたよね。どういったコンセプトがあったんですか?

デーモンが最近1980年代にハマっていて、その時代のスケート写真だけでの展示をやりたいと持ちかけてくれたんだ。僕は良い時に良い場所にいたからね。80年代の写真はたくさん持っているんだ。

ーー80年代からスケーターを撮り続けてきたあなたにとって、スケーターは今もカッコいい存在であり続けていますか?

カッコいいと思うよ。90年代はスケートのスタイルや服装がみんな似てしまったけどね。今はまた80年代みたいに個性的なスケーターが増えて来ているように感じるよ。スケート界はいつだって変わっているやつの吹き溜まりでフリークスの集まりだってことが素晴らしいんだ。

ーーあなたが考えるカッコいいスケーターの条件を教えてください。

僕はサーフィン出身だから、人と違ったスタイルを持ったスケーターが好きだね。例えばクリス・ミラー、クリスチャン・ホソイ、あとは……そうだ、ジョン・ギブソン!彼は素晴らしいスタイルの持ち主だよ。ジョンのフロントサイドオーリーは格別に美しい。

ーー今月号のグラインドでは”遊びのあるスタイル”をテーマにしたのですが、それについて色々とリサーチしていた時にあなたが撮影したマーク・ゴンザレスがスーツ姿でスケートしている写真を見て「これだ!」と思ったんです。あの写真を撮影した時のエピソードは覚えていますか?

あれはマーティ・ヒメネスの結婚式で撮影したんだ。ゴンズとナタス・カウパスが式場にスケートボードを持って来ていて、近くにあった花壇でブロックでスケートし始めたから撮ったんだよ。ナタスも青いスーツを着ていたな。

ーーそうだったんですね!

ゴンズとナタスと言えば、2人が古着屋に行って適当に買った服でスケートしていた時の写真もあるんだ。あれは雑誌『トランスワールド』の中でGSD(ギャリー”スケート”デイビス)が当時担当していた連載コーナーに使ったと思うよ。白いローファーも買ってたな(笑)。

ーーふざけてるのに、なぜかカッコいいんですよね。あなたが当時撮影していたマーク・ゴンザレス、クリスチャン・ホソイ、それにボーンズ・ブリゲードの面々は星の数ほどいるスケーターの中でも特別な存在だと思いますが、何が彼らを”特別”にしていると思いますか?

当時のスケートボードのトッププロは30人足らずで全員顔見知りの小さな世界だったけど、みんなそれぞれの個性やパーソナリティーを持っていたよ。みんなスケーターであると同時にアーティストであり、ミュージシャンだったんだ。その個性が彼らを特別な存在にしていたと思うし、僕がスケートに惹かれた理由も彼らのそうした好き勝手な自分らしさに触れたからなんだ。

ーーマット・ヘンズリーがカットオフしたカーゴパンツを穿いてる写真もとても有名ですが、あのアイディアはヘンズリーが最初なんですか?

いや、最初に始めたのはニール・ブレンダーじゃないかな。ミリタリーウェアを取り入れるトレンド自体はボーンズ・ブリゲードから始まったと思うけどね。あれはクレッグ・ステシックがディレクションしていたんだ。

ーーカットオフのアイディアはどこから生まれたものなんですか?

まずは涼しかったからだよ(笑)。あとは多分パンクロックの影響が大きかったんじゃないかな。パンクロックや、それにニューウェーブはスケートカルチャーにすごく大きな影響を与えてきたんだ。

ーー貴重な話をありがとうございます。最後に、あなたにとってファッションを含めスケータースタイルの魅力とはどのようなものだと考えていますか?

スケーターにしか理解できない独自のスタイルだっていうところかな。スケーター以外の人は入ることのできないクラブみたいなね。

 

 

Interview with AKEEM THE DREAM

今回グラント・ブリテンの日本滞在をサポートしていたアキーム・ザ・ドリーム氏もまた、少年時代にリアルタイムで80’sスケートの衝撃を体験した1人。ファッション面も含め、その色褪せない魅力を語ってもらった。

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自身のブランド『リザーブド ノート』の他、「AA Team」として様々なブランドにグラフィックを提供する。生粋のスケーターとしても知られ、かつてサンフランシスコに住んでいた経験も持つ。

80’sスケート直撃世代に聞く
色褪せない衝撃と魅力

 

 

 

 

ーー今回のグラントの展示を見て、どの写真が1番印象に残りましたか?

クリスチャン・ホソイがロケットエアーやってる写真ですかね。ホソイももちろん好きなんですけど、脇の方にサンタクルーズに入る前のジェフ・グロッソが写ってて、彼のスタイルとか乗ってる板とかのディテールが面白いんです。それにバックヤードランプで撮影されているあたりも、スケートパークがなくなっていた当時のアメリカの雰囲気が伝わるのも見ていて嬉しかったです。

ーー80’sスケーターのファッションと聞いてどんなものを思い浮かべますか?

サーフファッションの影響で蛍光色とか原色とか、突き抜けた色使いとパンクスタイルが合体した感じが80年代のスケートファッションの特徴かもしれません。個性的な人たちが多かったですよね。

ーーアキームさん自身はそこからどんな影響を受けましたか?

独裁的な影響ですよ(笑)。80年代のスケートスタイルは、初めてファッションに興味を持つきっかけでした。それまではただ暑いからという理由でサーフショップで派手な花柄のトランクスとかを買ってたのが、スケートをする様になってからは、タフなルックスであったり機能的なものを求めるようになっていって。自我が芽生えた時に最初にハマったカルチャーでしたね。

ーー今月号のグラインドは”遊びのあるスタイル”をテーマにしているんですけど、80年代のスケートファッションにはどんな遊び心があったと思いますか?

これはグラントも言っていたことだけど、既製品をスケートしやすいように改造すること、自分たちの必要に応じてどんどん追求していくところが遊び心とか自由さなのかなと思います。というのも当時は今みたいに色々なブランドが無かったので、Tshに自分でメッセージや好きなバンドのマークを描いたり、スリフトで買ったものを改造したり直したりしてファッションと機能を追求していたんじゃないかと思います。カットオフしたTシャツの袖を頭に巻いて汗止めにしてたり、ショーツを2枚重ねて履いてる人もいましたね。これ90年代の話ですがキャバレロのヴァンズもそうですよね。みんな履きやすい様にハイカットの部分を切り取ってローカットにしてて、それがきっかけでハーフ・キャブっていう商品が出ました。

ーー80’sスケーターのファッションに対するそうした自由さって、今でもアキームさんの中に残っていますか?

もちろん受け継がれてますよ。洋服を買ったら必ず使いやすい様に改造します(笑)パタゴニアのショーツは裏地切り取りますし、パンツもショーツにしたり、好きな丈に切ったりは今でもしますよ。洋服をデザインするときも、まずは自分たちのライフスタイルに合うものを作りたいと思いますからね。これがスケーターの習性なんだと思います。

 

 

TEXT_Yohsuke Watanabe

INFORMATION

URL_https://www.factbrand.jp

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