GRIND (グラインド)

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SARTORIAL STREET vol.3

ストリートなりのノールール

FASHION SARTORIAL STREET 2016.11.25

大人のダンディズムを探る当連載。案内をするのは、ユナイテッドアローズ& サンズの名物ディレクター、小木“Poggy”基史氏。ストリートとサルトリアリズムの両方を追求する小木氏がリコメンドする、その道のスペシャリストを毎号迎え対談を決行。今回は、東京のストリートを牽引してきた江川芳文氏の年を重ねた今のスタイルを聞いた。

ストリートで覚えた感覚を
ジャケットでも自由に応用

 

ー9月末、江川氏がデザイナーを務める〝オンブレ・ニーニョ〟と、キャップ・アパレルブランドの〝47〟、ユナイテッドアローズ&サンズがコラボレーションをし、ユニークなキャップとジャケット、リングのコレクションが発売された。まさにサルトリアル/ストリートなアイテムを制作するに至った秘話を聞いた。
 

小木氏(以下K):「このあいだ、今回のコラボコレクションの撮影でニューヨークにご一緒させて頂いた時に、僕がNYPD(ニューヨーク市警察)のような昔からあるニューヨークのお土産Tシャツが気になるという話覚えてますか? そしたら、DSNYというニューヨーク市衛生局のロゴは、ダナ キャラン ニューヨークの元ネタだったと教えてもらったり」。
 
江川氏(以下E):「話してましたね」。
 
K:「ヘロン・プレストンという人がいるのですが、ヴァージル・アブローと一緒にDJをしていたり、今注目されているデザイナーがいるんです。彼がDSNYとコラボしてNYのウィメンズコレクションの時にプレゼンテーションしていたんですよね」。
 
E:「へー。衛生局と?」
 
K:「そうです。NYのストリートの人たちは昔からNYにある面白さや、どうしようもないモノをハイエンドにする魔力を持っていますよね」。
 
E:「使い方とか出し方が上手いですよね」。
 
K:「ただ、そういう人たちがある程度大人になってきて、ドレスアップする時に着たいモノってなかなか無いと思うんです。今回のコラボレーションの元ネタですが、以前ヨッピーさんがニューエラのキャップの生地でスーツを作っていましたよね。それがかなり衝撃を受けて。それもちゃんとしたドレススーツを作っているような場所にお願いしていて。あれはどういう発想で出来たんですか?」
 
E:「ベースボールキャップの生地が僕にはスーツの生地に見えたんです。スーツというジャンルに手を出したのはそれが初めてでした。あのキャップの信頼度が昔から僕にもあったから、スーツに使える生地だなとずっと思っていたんです。それでキャップのツバ裏のグリーンを、ジャケットの襟裏に反映したり、菊穴を付けたりしました。ぱっと見は普通のウール生地にも見えるから、違和感なく着れるし、それが実はベースボールキャップの生地と一緒となると、自分的には欲しくなるんで。それを小木君に覚えてもらっていて、今回のコラボレーションに繋がったんだよね」。
 

スタイルを持つアイコンの
堂々とした着こなしが魅力

 

K:「海外のラッパーとかって、地元の球団などのキャップを誇りを持って被るじゃないですか。自分たちのチームみたいな。そういうのを作りたいよね、ってなってオンブレ・ニーニョとユナイテッドアローズ&サンズで架空の球団をイメージして作ったんですよね。ミュージシャンとかラッパーがトラッドな格好をしていると、すごい格好良く見えたりすると思うんです。スケーターにもそういうのがあって、トニートルフィーヨっているじゃないですか。ロックミュージシャンみたいな格好してスケートしてるみたいな。ヨッピーさんから言われて改めて思ったんですけど、自分たちが普通に歩いている街並みも、ここでトリックしたら面白いんじゃないかってスケーターならではの見る視点が違うと。だから、ヨッピーさんもスーツに対してそういう発想が出来たと思うんですよね」。
 
E:「ストリートならではの感覚ですよね。僕、NY全然関係無いけど、メッツもヤンキーズも好きだからくっつけちゃえみたいな」。
 

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ジャケットとキャップともに各4バリエーションで登場。オンブレ・ニーニョとユナイテッドアローズ&サンズのロゴがミックスしたデザインなどユニーク。Hombre Niño ×47 × UNITED ARROWS & SONSのジャケット各¥49680、キャップ各¥8640/ともにユナイテッドアローズ&サンズ TEL_03-5413-5102

 

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K:「ヨッピーさんは、着こなしで好きなスケーターとかいるんですか?」
 
E:「ドッグタウンのスコット・オスターっていうスケーターがいるんですけど、ライフスタイルも洒落ていて。おじさんスケーターで、年を重ねるにつれて格好もダサくなる人が多いと思いますが、当時も今も格好良いスケーターというとスコット・オスターかな。形にとらわれないで、自分の着方が出来る人が好き。最近で言うと、アレックス・オルソンの父親のスティーブ・オルソンもすごく格好良い。リーバイスのブラックデニムや501にコンバースのハイカットを履いて、シャツという変わらないスタイル。だけど、決める時はジャケットを羽織るみたいな。けど、ボロボロなんですけどね(笑)」
 
K:「格好良いですね。ヨッピーさんがジャケットを着ようと思ったきっかけって何ですか?」
 
E:「基本的な格好は15歳くらいから変わってないんですが、パンツが太かったり、細かったりと時代や気分で変わっていくことに、結局自分も飽きちゃうんですよね。そうした時に、ジャケットは変わらないじゃないですか。一本軸の通った服というか。誰でも着れば、それだけできちっとするし。若い時はどうしてもスーツはセットアップで着なければいけない、小木君みたいな着方が出来なかったんだよね。でも、洋服を作っていくとどうしても、テーラード的なことに憧れていくし、やりたかった。自分も普段ラフな格好しているせいか、ジャケットを着ると評判も良かったりするので」。
 
K:「普段の格好に着るだけですか?」
 
E:「そう。だからコーチジャケット感覚なんですよね。コーチジャケットだって、色々なものに合うじゃないですか。スーツの上だって合うし。その逆で、コーチジャケットの様に、ジャケットを着崩せたら自分っぽいのかなと」。
 

自由なスーツのスタイルは
ノーブレーキの自転車に類似

E:「自分でルールを作らない限り、本当はファッションは自由で良いのかなって思ったり。でもどうしても歴史があるんで、色々な情報が邪魔をして、スーツの時はキャップ被っちゃダメなんじゃないの?って昔は思ってましたが、小木君の自由なスーツスタイルを見るようになって僕も変わっていきました。スーツって、こうあるべきだというのが、ストリートの感覚でいくと自転車に似ていると思うんです」。
 
K:「自転車も色々な形ありますもんね」。
 
E:「色々な形もあるし、ジオメトリーがあるじゃないですか。スーツも、センチがどうでっていうのは結構似ている気がするんですよね。自転車もこれはやっちゃダメとかあるので。ロード好きの人は、ノーブレーキは悪だという感じもあるし。歴史がちゃんとあるものには、ルールみたいなものはつきものですから。でも本当は自由で、小木君はスーツ界のノーブレーキだと思う。結局は人がどう着るかって訳だから、その人の自由な着こなしで良いと思いますね」。
 

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江川 芳文
15歳よりプロスケーターとして活躍し、T-19所属のスケーターとして現在に至るまで東京ストリートカルチャーを牽引し続ける。1998年にはヘクティクを立ち上げ、2012年よりオンブレ・ニーニョを開始。愛称はヨッピー。

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小木〝Poggy〟基史
UNITED ARROWS & SONSのディレクターを務める。ストリートとクラシックに精通した知識と自身のセンスで、世界中のファッションシーンから多大なる注目を集める。

INFORMATION

【問い合わせ先】
ユナイテッドアローズ&サンズ TEL_03-5413-5102