GRIND (グラインド)

serch
_rk_2768本番本番

Exclusive interview with
Virgil Abloh

GRIND online独占インタビュー!
ストリートとモードを繋ぐ男
ヴァージルは今、何を想うのか

FASHION MUSIC 2017.05.22

先日来日していた<オフホワイト™>のディレクター、ヴァージル・アブローが編集部を訪れてくれた。
青山にフラッグシップストアをオープンするなど順風満帆な一方、ラフ・シモンズからの口撃を受け、
コレクションの内容を急遽変更したことも話題となっている。渦中の男は今、何を想うのか。
ストリート出身の代表としてハイファッションの世界で闘う彼に色々と話を聞いてみた。

_rk_2768本番本番

 2017年1月に公開された米GQ誌のインタビューにおいてラフ・シモンズは、インタビュアーがヴァージル・アブローやデムナ・ヴァザリア、ゴーシャ・ラブチンスキーの名前を挙げながら、現在の新鋭デザイナーからの影響について聞いた時、その影響を認めながらも「<オフホワイト™>には影響を受けていない」と話していた。はっきり「Not Off-White.」と。理由としては、ラフから見たらヴァージルにはオリジナリティや新しさを感じないということだったらしい。
 それもなかなかドキッとする発言だが、ラフから口撃を受けたヴァージルはさらに、ラフへのアンサーとしてかどうかは公言していないが、その時点でほぼ完成していた2017AWのウィメンズコレクションをリセットして急遽”Nothing New”(目新しいものはない)というコンセプトのまったく新しいコレクションを発表したのである。アツい!まるでHIPHOPのビーフの如きスピーディーな展開に我々は燃えた。しかもそうやって発表された”Nothing New”コレクションがこれまでで最高の評価を得ているなんて良い話じゃないか。そんなこんなで、以上のストーリーを踏まえてインタビューを読んでほしい。

 

 

Interview with Virgil Abloh

 

 

“キム・ジョーンズと藤原ヒロシの2人が
ラグジュアリーとストリートのMIXを
実現させたことは本当にすごいと思う”

今回来日された目的は?

 

1年に2、3回くらいは日本をチェックしに来たいと思っているんだ。これは他の国にも言えることだけど、インスピレーションはストリートのような何気ない場所にこそあるからね。

東京で特にチェックしたい場所があったんですか?

 

そういうのは特にないかな。ただ、人も道も、観察することがとても好きなんだ。

東京ではつい先日<ルイ・ヴィトン>と<フラグメントデザイン>によるポップアップがすごく盛り上がっていました。モードとストリートの融合というのはあなたも得意とする分野だと思いますが、あのコラボについてどんな印象を受けましたか?

 

素晴らしいコラボだと思ったよ。キム・ジョーンズと藤原ヒロシの2人がラグジュアリーとストリートのMIXを実現させたことは本当にすごいと思う。僕自身、そのマインドで<オフホワイト™>を始めたからね。

発売が噂されている<ルイ・ヴィトン>と<シュプリーム>についてもチェックしていますか?

 

もちろん。買いたいと思っているよ。

先日あなたがインスタグラムでポストしていたトラビス・スコットのライブのオープニングの際のあなたのDJ風景を見ましたが、マイルス・デイビスとミーゴズを繋ぐMIXにあなたらしいセンスを感じました。この感覚は洋服作りにも通じるものですか?

 

まさしくそうだね。脳のどの部分も使うかということについては、DJと洋服作りはまったく同じだよ。

ミーゴズのように、あなたのクリエイティビティを刺激する若手ミュージシャンは他にもいますか?

 

リル・ウージー・ヴァートとプレイボーイ・カーティだね。

ーー先月はコーチェラにも行かれていましたよね。

 

そうだね。

誰のライブが良かったですか?

 

スケプタにジャスティス、サンファも良かった。

 

“ラフのように、自分のマインドで
生きているデザイナーがいてくれたから
今の自分がいると思っているよ”

最近はラフ・シモンズとのことについて聞かれることが多いんじゃないですか?

 

そんなに多くはないよ(笑)。たまに聞かれるくらいで、そこにはあまり囚われないようにしているんだ。”Nothing New”というコレクションの名前もラフに対しての直接的なレスポンスではないよ。単に「新しいものだけが良いものではない」ということを伝えたかったんだ。

僕らはHIPHOPのビーフのよう展開を感じていましたが、当事者であるあなたもそんな心境でしたか?

 

そんなわけないよ(笑)。全然ビーフのつもりもないさ。そもそも僕は彼のファンなんだ。ラフのように、自分のマインドで生きているデザイナーがいてくれたから今の自分がいると思っているよ。

それでもあなたのアンサーとしての”Nothing New”コレクションの発表は最高でした。

 

ありがとう。結果的に自分の中でも1番気に入っているコレクションになったよ。自分があの時に感じていたことを具体的に表現できて良かった。

”Nothing New”と言葉からは温故知新のような意味合いも感じましたが、ヴィンテージやクラシックな洋服にインスパイアされることもありますか?

 

と言うよりは過去の記憶をベースに洋服を作るのが好きなんだ。思い出と言えば良いのかな。

それはあなたの思い出?

 

僕個人と言うよりは世代だね。それも様々な世代の記憶をベースにしているんだ。

あなたの少年時代の記憶を教えてください

 

スケートボード、ロック、HIPHOPだね。

あなたもスケートしていたんですか?

 

していたよ。

好きなスケーターやカンパニーが気になります

 

ロドニー・ミューレンが好きだった。ブランドだと<ドロアーズ>や<エイリアンワークショップ>、<ブラインド>かな。

 

“ユースカルチャーを代表している
オーセンティックなブランドであり続けることが、
自分の役目だと考えているよ”

洋服をデザインする際のスタート地点はどこですか?

 

まずはミューズのような人物像やムードボードなどの大きな枠組みを先に考えて、そういう抽象的なところから具体的なものに落とし込んで行くんだ。あとは世界中をまわる中で、友達と会ったり、いろんな都市の若者のスタイルや、彼らのものの選び方からインスパイアされることが多いかな。

それぞれのシーズンはまったく別物として考えていますか?

 

いや、糸みたいにずっと繋がっているイメージさ。それがどんどん成長したり変化したり。過去があるから未来があるんだ。

<オフホワイト™>ではメンズとウィメンズ両方を展開していますが、洋服作りに関してのアプローチは同じですか?それとも違いますか?

 

違うものとして捉えているよ。でも彼氏と彼女だったり、母親と息子みたいな、近いコミュニティーで生活している男女をイメージしているかな。

メンズとウィメンズ、デザインするのはどちらが楽ですか?

 

どちらも大変で、どちらも難しいよ(笑)。シーズンによっても違うかな。

モードとストリートを横断する<オフホワイト™>にとって、ライバルとなるブランドは星の数ほどいますが、その中でどうやって未来に残っていくブランド、特別な存在になろうと考えていますか?

 

成長し続けるだけだよ。同じことを2度はやらない。毎シーズン成長して変化していくことに常に気を使っているんだ。あとは<オフホワイト™>の洋服がヴィンテージになった時のために、いつのシーズンのものかをタグに表記したり、グラフィックなどの表現手法を使ってなるべく今の瞬間瞬間を切り取るようにしているね。

現在のファッションシーンの中で、あなたの役目とはどのようなものだと考えていますか?

 

ユースカルチャーを代表しているオーセンティックなブランドであり続けることが、自分の役目だと考えているよ。DJをやること、コーチェラに足を運ぶこと、ミラノのアートギャラリーに行くこと、ニューヨークの今イケてるホテルでパーティーをやることも、すべては若者たちが共感できたり共鳴できる存在であり続けるためなんだ。彼らを代表し、彼らの意思を伝えられるような立場で居続けなくてはいけないからね。

現在のユースカルチャーで、あなたから見ても特に大きな影響力を持ったアイコンというのはいますか?

 

<グッチ>や<シュプリーム>や<ヴェトモン>のようなブランドもそうだし、人物で言えばエイサップ・ロッキー、イアン・コナー、エイサップ・バリ、エイサップ・ナスト、プレイボーイ・カーティ、リル・ウージー・ヴァート、ベラ・ハディット、ケンダル・ジェンナーとか。おもしろいのは、彼らはみんな仲が良いということさ。集合体なんだよ。

 

“<オフホワイト™>を表現する
新たな手法を見つけたのさ”

<オフホワイト™>スタート時はストライブがブランドの象徴的なグラフィックでしたが最近は使用頻度が減り、代わりに”SCULPTURE”や”FOR WALKING”のような”(ダブル・クオーテーション・マーク)を使用したレターデザインをたくさん見かけるようになったと感じます。

 

まさにそうだね。「”」がブランドの新しいロゴのような役割を果たしていくんだ。<オフホワイト™>を表現する新たな手法を見つけたのさ。

ダブル・クオーテーション・マークということは、中に入る言葉を強調しているという狙いですか?

 

確かにそうだけど、それだけでもないよ。なんて言えば良いかな、例えば僕らが話している言葉というのも、直接的な意味で使うこともあれば、間接的に皮肉っぽく使うこともあるだろ?バッグなのに”SCULPTURE”とプリントしたりさ。そういう相対する意味なんかも含めて、おもしろいと思って使っているんだ。

そう言えばリーク画像が出回っている<オフホワイト™>と<ナイキ>とのコラボスニーカーも、ビジブルエアーが採用されていないモデルに”AIR”というデザインが取り入れられていましたね。

 

ごめん、それについては何も話せないんだ(笑)。

わかりました(笑)。言葉を視覚的に洋服に取り入れるというのは<オフホワイト™>のスタート当初から使われていた手法ですが、こちらも進化しているんですね。

 

そうだね。そもそもストリートウェアっていうのは言葉でブランディングしてきたカルチャーだと思うんだ。それをハイファッションとMIXしていくことが僕のスタイルだと思っているよ。これからもその進化を続けて行くよ。

 

 

Photo_Ryo Kuzuma(horizont)
Text_Yohsuke Watanabe

POPULAR