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yahyel/WONK

GRIND CLUTURE COLUMN/MUSIC

MUSIC 2016.10.24

日々更新され、躍動する世界の音楽シーン最前線から注目のアーティストや作品を紹介する連載。
今回は、異なるアプローチで未来のソウルミュージックを奏でる東京のバンド、yahyelとWONKを紹介する。

かつて、「日本人にブラックミュージックは体得出来ない」と言われていた時代が長らくあった。しかし、先人達が繰り広げてきたグルーヴ探求やリズミックな歌詞表現の試行錯誤もあり、いつしか、ブラックミュージックに対するコンプレックスを口にするミュージシャンは少なくなった。
 

そして、ヒップホップやR&B、クラブミュージックが主役となった現行の音楽シーン、さらに世界のグローバル化を考えれば、その音楽の出自に難癖をつけること自体、全くのナンセンスだ。
 

2015年3月に結成され、瞬く間に耳の早いリスナーの間で話題となったヤイエルは海外在住経験のある3人に、ドラマーを加えた5人組バンドだ。国境のない音楽集団を目指す彼らは、無名にもかかわらず、今年1月に欧州ツアーを敢行。
 

各地で好評を博したというが、現在、制作中というファーストアルバムに先駆けてリリースされた「Once/The Flare」では、R&Bとベースミュージックを融合したジェイムス・ブレイク以降のエレクトリックソウルを展開。日本の特定のシーンを背景にせず、ハイクオリティな音楽性で軽やかな活躍が期待出来そうだ。
 

そして、どちらかといえば、ヨーロッパ的な洗練を身にまとったヤイエルに対して、自ら、エクスペリメンタル・ソウル・バンドを名乗っている4人組バンド、ウォンクは、ロバート・グラスパー・エクスペリメントやハイエイタス・カイヨーテ、ジ・インターネットといったバンドと共鳴するかのようなコズミックソウルを紡ぎ出す。
 
J・ディラやフライング・ロータスといったビート・ミュージックから大きな影響を受けたという彼らの演奏は、現行のビートミュージックを土台に、近年、アメリカを中心に目覚ましい進化を遂げているコンテンポラリー・ジャズがそうであるように様々な音楽要素が有機的に結びついたものだ。

 

2013年のバンド結成から3年足らずでリリースにこぎ着けたファースト・アルバム『Sphere』には、KANDYTOWNのラッパー、Dianをフィーチャーする一方で、ジャズ界のニュージェネレーションを担う名 うてのドラマー石若駿とサックス奏者の安藤康平が参加。
 

ヒップホップとジャズ、ソウルのクロスオーバーが、かつての日本人ミュージシャンのようなヘッドミュージックではなく、ボディミュージックとして表現出来ているところに新世代らしい才能のきらめきが感じられる。
ヤイエルもウォンクも若いバンド特有の勢いだけで終わらない、成熟したセンスと演奏技術がその音楽を支えているところも実に頼もしい。
 

過去に学び、未来に向け、現代的なアプローチを果敢に実践しながら、一過性のものではなく、普遍的な響きを目指す高い志が彼らの作品を特別なものにしているのだ。
 

過去から現在、未来とつないできたブラックミュージックの軌跡を思えば、彼らの目指す先は明るく照らされている。

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yahyel 『Once/The Flare』

現在制作中の1stアルバムに先駆けてリリースれたEP。ベース・ミュージックとメランコリックなソウルの刺激の融合がここに。

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WONK『FromtheInheritance-EP”』

4曲入りの1st EP。歌とラップ、洗練と野蛮さを兼ね備えたソウルミュージックの現在進行形。

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WONK 『Sphere』

名うての若手ジャズメンとラッパ ーたちが参加した日本発のエクスペリメンタル・ソウル 。その第一歩を記したファースト作。

INFORMATION

ヤイエル:2015年に結成された5人組。VJ、ドラマーを加えたライヴも話題に。

ウォンク:2013年結成。エクスペリメンタル・ソウル・バンドを標榜する4人組。
 

text by YU ONODA

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